定価と販売価格について

みなさん、こんにちは。吉山の部屋へようこそ。

今回は、「定価と販売価格」について少し語ってみようと思います。

出来るだけ「場が荒れないように」気を付けますが、

もしもの時は・・・・・・・スミマセン（汗）

 

消費者にとっては大事な話というか、知っておいて損はない話だと思いますので、

もしよろしければ、最後までお付き合いください。

ちなみに、ただの「カタリ」になるとつまらないので、

買取実績（FENDER JAPAN JB STD）の話も交えながら進めてみたいと

思います。

そもそも、「定価」という概念がもはや古いのかもしれませんが、

楽器の相場、値頃感を語るのに必要なものになりますので、

軽くおさらいしてみましょう。

一般的には、以下のような解釈で良いとは思いますが、

 

定価＝メーカー希望小売価格＝上代

 

‟上代”は今時言わないでしょうね・・・・・

＊ちなみに、下代はメーカーや問屋から小売店が仕入れる価格ですね。

 

言葉のままの解釈をすると、定価→定められた価格、

メーカー希望小売価格→メーカーが小売店に希望する販売価格

という意味だと思いますが、楽器には多くの商品に「定価」が設定されている事が

多いようです。一部のメーカ―に関しては「オープンプライス」で展開しているメーカーも

少なくありませんが、まだまだ「定価設定」されている商品は多いようです。

 

ちなみに、上記写真のFENDER JAPAN JB STDは税抜き定価が￥59,000

ぐらいだったと記憶しております。

 

では、その定価で実際に販売されているか？ということになりますが、大まかに

答えは「NO」になりますね。つまり、定価から何パーセントかの値引きをして

販売するのが、「暗黙の了解」、もっと言えば「常識」のようになっているのが

楽器であります。おおよそですが、15%OFFから25%OFFぐらいは当たり前でしょう。

 

そうすると、「定価≠販売価格」となります。であれば、定価とはいったい何？

となります。もともと「販売してほしい価格」になりますから当然商品のスペック、

機能性を表すバロメーターのような意味もあります。

定価￥50,000のギターよりも、定価￥100,000のギターの方が

何かしらスペックが良くなっているはずです。

 

例えば、定価￥100,000のギターがあったとしましょう。メーカーは会議を重ね、

スペック、価格、何度も見直します。より良い物を、より安く作った方が

良く売れますからね。仮に、メーカーから工場への発注金額が￥40,000だったとすると

工場は定価￥100,000のギターを￥40,000で作成しなければなりません。そうして、

出来上がった物をメーカーは「卸し条件は定価の65%です。」と言って、小売店へ

￥65,000で卸します。小売店は定価で販売したいところですが、周りが皆20%OFF

即ち￥80,000で販売している為、泣く泣く￥80,000で販売です。

↑中古とは思えないほどピカピカに仕上げてくれています。（当店楽器スタッフ：内田氏作）

 

 

上記の例で言うと小売店の粗利率は18.7%です。もし、卸し条件が70%や75%だったら？

厳しい世界ですね。ちなみに、今回ご紹介していますこちらのFENDER JAPANは

当時、小売店への卸条件が70%～75%でした。かといって、定価販売になるわけでは

ありません。少なからず、10%なり、15%なり値引きしての販売です。

もともと、楽器は「定価販売」が当たり前でしたが、ある大手の楽器店が「値引き販売」

を始めます。そうすると、周りも合わせざるを得なくなり、そうして「安売り合戦」の時代が始まりました。

消費者にとってはいい事ですけどね。

 

それらの要素もあり、今度はメーカーが「オープンプライス」や、「定価を抑えて卸し条件を上げる」

など、価格の乱れを修正しようと対策を打ちますが、まぁ、結局は一緒ですね。

 

上記の例題を見ると、数字が￥100,000→￥80,000→￥65,000→￥40,000と並んでます。

「定価は商品のスペック」と言いましたが、定価≠販売価格である為、￥20,000差が出ます。

どっちが、商品の価値を定めているか？分かりづらいですよね。中古の買取価格が

お店によって「まちまち」に成りがちなのは、こういった側面もあるようです。

リユースショップの買取基準では「定価の○○%」または「新品販売価格の○○%」など

決まっているところも多いと思います。

ちなみに、私は「定価基準」と「販売価格基準」の両方を使い分けています。

なぜなら、メーカーが「販売価格を意図的にコントロールしたような定価設定、

卸し条件」がありありと感じる場合が多いからです。そこに、「人気度」や

「希少度」など加味してお値段を提示しております。どちらにせよ、「定価」が

買取価格を算出する上で、大事な基準になっていることは間違いありません。

古い物でも、定価の高い物であれば高価になる可能性はあります。

 

今回の「定価と販売価格」の話と、FENDER JAPAN JB STDはどう関係があるのか？

と思われるでしょう。冒頭にも書きましたが、当時のFENDER JAPAN、小売店への

卸し条件がピカイチに高かったと記憶しております。しかも、値引き販売です。

要するに、「嫌なら買わなくていいよ」って事だと解釈する人も多かったようです。

 

そして、2015年の4月をもってメーカーはライセンス失効となりました。FENDER USAも同じく

国内輸入代理店との契約が終了になっています。今は、何やら騒がしくなってきていますが、

少なくとも「完全ストップ」になった期間がありますので、中古の買取価格＆

販売価格が高騰した訳ですね。長年にわたり、FENDER JAPANを流通させてきた

メーカーさんも幕引きとなりましたね。もちろん、いつかこういう日が来るのは分かっていた

とは思います。しかし、FENDER JAPANで泣かされた小さな楽器店は数多いと思います。

 

それが、今は「希少！FENDER JAPAN」です。何だかな・・・です。

ここから、FENDERはどういった展開を見せるのでしょうか？

GIBSONのようになるのでしょうかね？

ただ、私、いち小売店＆いち消費者としてはちゃんと国内に「MADE IN JAPAN」の

FENDERを流通させて欲しいと願うばかりです。だって、フェンダーに憧れている

子供たちが20万、30万のギターなんて簡単に買えませんからね。

 

 

 

決して、

「メーカーと小売店がタッグを組んで独占！」

などならぬようにと祈りつつ、

今回のお話を終了させていただきます。

 

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。