修理道～達人までの道のり～vol.18 FENDER TELECASTER CUSTOM編

みなさん、こんにちは。吉山の部屋へようこそ。久々にやっていきたいと思います。今回のお題はコチラです。

FENDER TELECASTER CUSTOM（フェンダー　テレキャスター　カスタム　ビンテージ　オールド）です。おおよそ、1974年～1976年製造の物と思われます。正式な年式はここでは言及いたしません。「オールド」と表現するか？「ビンテージ」と表現するか？これも、私はあまり興味が無いのと、明確な基準を知らないので、どちらとも言わずにおきましょう。ただ、何となく「ビンテージ」と謳いたい方は多いんではないでしょうか？（特にオークションサイトなど）「ビンテージ」という言葉が特別な「希少価値」を持たせるかどうか？は置いといて、使いたがる方は多いようです・・・・・・いきなり脱線してしまいました。本文に戻ります。

現時点で分かっているのは、①弦ブッシュが無くなっている②ピックカバーのビス、ブリッジプレートのビスが交換されている③ビビリ音が出る。といったところでしょうか。まずは、必要なパーツを取り寄せます。（バックル傷がカッコイイですね。↑）＊ちなみに、冒頭で申し上げました「私はあまり興味が無い」というのは、「ビンテージ」か「オールド」かの議論ってことです。使用感のある楽器はカッコよくて好きです。

FENDERの純正パーツへ交換しました。（下から2番目と3番目）この、テレキャスターの「弦ブッシュ」、高確率で無くなりやすいのでご注意願います。グラついてきたり、ポロポロ外れだしたら、早めに固定しておいた方が良いかも知れません。

ピックガードのビスがアルミ製の物に変わっています。色味が何となく安っぽく見えるので交換しましょう。

ブリッジのビスも同様にアルミ製です。これに関しては、すでにブリッジ固定出来ていなく、グラついています。

これらのビスを左の物から、右の物へ交換です。（上記はピックガード用）

こちらは、ブリッジ用です。↑

交換完了。「なぁ～んだ、今回楽勝だね」と思われた方、ご安心ください。ここからいつもの「難儀劇場」の始まりです。それでは、最後までどうぞよろしくお願いいたします。GO!↓

ビビリが酷かったのでナットを確認すると、ご覧の通りプラスチックナットが削れて溝が浅くなっています。しかも、弦が斜めに溝を掘り進めた結果、弦の間隔がバラバラになっています。これは、結構ギターを弾く上で嫌なんですよね。って事で「ナット作成がタスクに追加されました。」

 

 

 

そして、トラスロッドを確認すると締め方向（時計回り）にはまだいけますが、緩む方向（反時計回り）には調整幅が残ってません。しかし、ネックは思いっきり「逆ぞり」状態です。って事で「ネックアイロンがタスクに追加されました。」

 

 

 

更に、フレットの減り具合とビビリ音回避を考慮して「フレットすり合わせがタスクに追加されました。」

少し急ぎめでご紹介していきます。（絶対に長くなる・・・気がするので。）まずは、古いナットを外しました。ナット溝にトラスロッドが丸見えです。70年代のテレキャスターってこれがデフォルトですかね？どなたか、教えてください・・・

どっちにしても進めるしかありません。私の苦手な「R付きナット」です。まずは、ナット底辺部分のRから。ラインを引いて削っていきます。

削り完了、でRのチェック中です。指板のRとナット溝のRが必ずしも一致しているとは言えないかも知れませんが、自分はこれで行きます。

 

 

この間にナットの厚み調整をして、溝に装着してみましたが、、、やっぱりトラスロッドにナットが接触していて、左右にシーソーのように「カタンカタン」と音がします。イラストで説明するとこんな感じです。↓

最初はどうなっていたんでしょう？取り外したプラスティックナットは、どこかで交換されているのは分かりますが、隙間なく付いていたように思います。まぁ、いいか・・・・って事で「トラスロッドをかわす加工」はコチラ↓

どんどん行きます！

上のカーブを作成して、

溝切りしていきますが、自分の場合はまず6弦と1弦を決めて、

上記のようなゲージを使って、「弦の中心」が等間隔になるように溝を切っていきます。これが正しいかよくわかりませんが、不慣れな方はこの方法がオススメです。また、「ここからここまでの間隔を使用する。」っていうマーキング（上記の黒い点）を付けておくと、「あれ、どこだっけ？」とならずに済みます。

自分の場合は、弦の両側にラインを引き白い部分を切っていく事にしていますが、多分、プロは一発で切ります。不慣れな方は、この方法が良いかも知れません。多少のミスはリカバリーできる様に、若干ナットを高めにしておくのも初心者がやる為のコツです。自分は1本づついきます。

溝切り完了。

続いて、フレットすり合わせと面取りです。この時、ノギスのようなものでフレットのトップが凸凹になっていか？チェックしながら進めます。

指板の洗浄です。「マジックリンでやると早いよ。」埼玉の巨匠より教えていただきました。あっ、ちなみに私はほとんどが独学でやっていますので、壁にぶち当たることが多く、全国各地におられる巨匠に助言をお願いしながらやっています。今度、「私の巨匠」シリーズでもやってみますか。

 

 

埼玉の巨匠は私が知る限り「国内ナンバーワンのリワイヤーの名手」だと思っています。リワイヤーはピックアップのリワイヤーです。断線したピックアップの修理のみならず、オリジナルを超えるようなスペックのピックアップも「こしらえます。」（←巨匠の口癖・・・・）もちろん、ギター、ベースの制作やカスタマイズも・・・当たり前です。著名人のギター制作を手掛けたこともある方です。とにかく、深い！→埼玉の巨匠はコチラ

 

続けていきましょう！

ピッチも調整しておきます。

ここからが私的にはお楽しみタイムです。ナットの形を自分の思う形に仕上げていきます。若干、ナットを高めにしておいて溝の調整後、整形です。ちなみに、プロは形を決めた後で溝切りします。（多分・・・）溝切り後、ナット整形するのにはデメリットもあります。溝が深くなりすぎるので、「垂直に切りにくい」といった事に陥りやすいのでオススメはしません。

ここからオイル漬けです。

ここからネックアイロンです。

やり過ぎると、フレットがバンバン飛び出してくるので要注意です。自分の場合は予めオレンジオイルで保湿をおこなって温める様にしています。

ようやく完成です。なんか、少しイメージと違う形になりましたが、最初の物に比べるとまだいいかなぁ～ってとこでしょうか。

いつも隙間が開いてしまうこの部分も今回は隙間なくいけました。（マグレ感がありますが・・・・）

 

 

 

っという事で、久々にやってきました。最後までお付き合いいただきありがとうございました。次の記事も「長編。」です。←（さらっと言ってみました。）また、お会いしましょう。

 

 

 

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