初心者‟非”オススメギターにご注意を

みなさん、こんにちは。吉山の部屋へようこそ。

何やら、物々しいタイトルで始まりましたが、今回は加工中に気付いた事を

ご報告いたします。

良く見るストラトタイプのエレキギターですが、入門用機種として、あるメーカーが発売している物です。

いつものようにお売りいただいた物を加工しようとしている時の事でした。

いわゆる「ビビリ音」が激しい状態のギターでしたので、ネックかな？ブリッジ周辺かな？と

チェックを進めていた訳ですが、ネック→微かな順ぞり、ブリッジ標準的、

6弦1フレット～5フレット→OK.。5弦、解放→ややビビリ、1~5フレットOK。

４弦と３弦は解放で激ビビリ、2弦、1弦→OK。

・・・・・ん？

とすれば、「ナットかな？」と思いナットの溝が減っていないかチェック。

（というか、3~4弦の開放で激ビビリの時点で薄々気付いていましたが・・・）

・・・・・・う～ん、特別減ってはないなぁ・・・・・・・ん？なんじゃこりゃ！

お分かりになりますかね？ナットが真っ直ぐです。

いや、溝はRがついてるでしょう。とチェックしたものの・・・・↓

ナット溝もド真っ直ぐですね。・・・・・・・「カチーン。」

と、まぁこんな経緯です。

要するにですね、何が言いたいかといいますと、まずほとんどのギターは指板（フレット）に

R（緩やかなカーブ）がかかっていまして、それに合わせてブリッジ、ナットも同じ程度のRを

つけることになっているんですが、こちらのギターはナットのみが「フラット」になっていたんです。

そうすると、1弦、6弦はまだしもRの頂点にあたる3弦4弦はフレットとの距離が近くなり

解放で弾いて弦が‟バッチリ”フレットに触ってしまうんですね。

もちろん、‟もともと”からです。こういったお仕事をさせてもらっていますので、

持ち主の方がパーツを交換している場合、すぐに分かります。

仮に、プロの方に依頼して「ナット交換」をしていたとしても、交換したかどうかはすぐに分かります。

まぁ、プロの方ならまずこんな仕事はしません。

入門用ギターセットは一時期、1万円を切るぐらいの価格でWEBSHOPなどで

販売されており、作り手（メーカー）側からすると、「原価戦争」になっておりました。

「ネットで〇〇円で売るには、いくらで作ればいい？」的なところから開発が始まり、

OEMを駆使して、ネット上や店頭に製品として並ぶ、という流れです。

当然、WEBSHOPになると「価格訴求」になってしまいますから、

内容か価格でNO.1にならないと、まず売れません。（例外もありますが・・・）

そこで「利益を削るか、原価を下げるか」となり、原価を出来るだけ下げるには・・・・？

材料費、人件費の節約、そしてスケールメリット等を活かした原価ダウン。

こうなっていくわけです。

昨今の「ギター入門セット」を非常に作りが良くなってきていますし、

これから始められる方にとって、パフォーマンスの高いギターがより安く買えるように

なっているのは間違いありません。非常に良いことだと思います。

（自分が子供の時だったら、大喜びです！）

一方で、上記にも述べた通り「原価」の問題もあり、メーカーとしては悩みどころです。

私は、入門用ギターの作りについて批判するつもりは一切ありません。

では、「カチーン」の理由は何かと申しますと、この「ナット」に関してですが、

入門用ギターや安価なギターには、プラスチック製のナットが使用される事がほとんどです。

そして、機械で作成し、簡単に接着で完了。なのですが、どうせ機械で量産したプラスチックナットを

装着するのであれば、Rぐらいとったらいいのでは？と思います。

実際に、ほとんどの入門用ギターはそうなっています。Rぐらいついているんです。

完璧でなくとも、なんとなくでも、Rがついているんです。他のメーカーは頑張っているんです。

つまり、なんとなく私の気分が悪いのはこのナット「確信的」なところです。

工場に対して「ナットはフラットで。」と誰かがオーダーしているからです。

それで、いくらか原価が下がったのかもしれません。

おかげで、世の中に流通し社会貢献したのかもしれません。

しかし、初めてギターを買った方はRだの、フラットだの、ナットだの、と構造上の事など

分かるはずがありません。これ、「初心者オススメギター」じゃ無いんでしたっけ？？

どこら辺がでしょう？不思議です。

もしかしたら、お売りいただいた方は「ビビビっていう変な音がするから・・・」

という理由だったのかもしれません。少なくともまともに弾ける状態ではありません。

もちろん、入門ギターに完璧を求めているわけではありません。

ピッチが合わない、チューニングがずれやすい、音がこもる、TONEのツマミがあまり効かない、

などはまだ理解できます。限界はありますよね。ただ、「最低限弾ける状態」にしてくれないと

練習すら出来ないのです。

まぁ、よし。今日はこれぐらいにしときますか！

熱くなり、一切の説明を端折ってしまい申し訳ございません（汗）

ナット、作り直しました。

ついでに、フレットも10カ所ほど浮いていたので、叩いていますので、ちゃんと弾けるようになりました。

これで、これから始める方にも晴れて「オススメ」できますね。

このブランドのギターは吉山の「要チェックリスト」に載せましたからね！

（あ、でも買取価格は変動しませんよ！）

以上、番外編をお届けいたしました。

次回は、

「古き良き友　編」

をお送りいたします。おたのしみに。